24-03-08

 悲しみはマイナスの感情ではないと思っている。たとえば何かを無くしただとか、誰かが亡くなったとかで悲しみを感じるのは、それが自分の中でどれだけ大きかったか知る唯一の機会である。失って初めてその大切さに気づけるとよく言うが、悲しいという感情の中にはそういった気付きが内包されている。今まで気づいていなかった豊かさに気づけることは幸せだと思う。

 俺はアラレちゃんもドラゴンボールも読んだことがなく、ドラクエも途中で積んだⅦのリメイクしか遊んだことがないため、鳥山明の訃報にそこまでのショックを受けなかった。志村けんが亡くなったときもそうだった。

 ネットで鳥山明志村けんの死にショックを受けるツイートが流れてくるたびに、言葉を選ばずに言うと勿体無さみたいなものを感じた。彼らの活躍を見ていなくても、彼らの偉大さはある程度知識として持っているつもりである。しかし、体験として持っていない故に、今からドラゴンボールを読んでもバカ殿様を見ても、私は彼らの死を全力で愁うことはできない。下品さは承知の上で、それが勿体無いように思えてしまう。