23-04-16

 小学校の時好きだった女の子が腕を骨折したことがあって、その時僕は、僕も腕を折りたいって思ったんです。

 

 小学生なら骨折に憧れるっていうのはそんなに珍しい話でもないと思うんですけど、そういうことではなくて。実際、男友達が骨折してきたときにはそんなこと思ったことないし、骨折に憧れてたとかいう話じゃないんです。同じ骨折で仲間意識を持ちたいとかそういう話でもなくて、彼女が受けた痛みを僕も受けたいっていうだけの感情です。べつにこれは小学生の時だけのことじゃなくて、バトル系の漫画で好きなキャラクターが大ダメージを負ったときでも同じようなことを思います。

 でも別に僕はマゾヒストというわけではなくて、痛くても気持ちよくはないし、女の子に罵倒されたら腹が立ちます。じゃあこの感情はなんなんでしょう。

 

 どれだけの痛みを知っているかっていうのが、僕の中でその人と対等でいられるかっていうのの重要な要素になってるんだと思います。痛みっていうのは、文字通りの痛みでもありますし、苦労だとかそういったもの全般でもあります。今好きな女の子はすごく部活を頑張ってる子だったので、何の苦労も知らない一生帰宅部で成績も悪い俺なんかが、みたいなことを思ってたときもありました。部活なんか当人の自由で行うものですし、彼女も好きでやっていました。たとえば学費が払えなくてバイトしながら学校に通ってる苦学生に対して、その苦労を知らない僕なんかが、と思うのはまあ自然なことだとも思うんですが、僕の場合はそうではなかったので、なんというかそういった感情が人より強いんだと思います。

 

 こういう話をするとき、ほかの人がどれだけこういう感情を持ってるかわからなくて困りがち。